素敵なまちづくり見てある記
宮古島
県営平良団地


平良団地は女性建築家、伊志嶺敏子さんが設計されました。

この団地は伊志嶺さんの
「プライバシーとパブリックの考え方」に基づいて造られた団地です。

「プライバシーとパブリックの考え方」とは、

「共同生活に不可欠なコミュニティー形成のためには、

住民同士の顔の見える関係を築く住環境の整備は重要である。

そのためには、プライバシーに配慮しながらも住空間の過度な囲い込みをやめ、

内と外のゆるやかな関係がもてるように、

プライベート空間とパブリック空間との間に『中間領域』を計画する。」

という考え方です。

 

この考え方を生かして平良団地では、

住民の人や来客者が利用する廊下から部屋の中に向かって、

公的な空間から私的な空間へと、緩やかな流れがつくられています。

廊下や外から見える部分では、住民の人たちそれぞれが

花や木を飾ったり、ネームプレートに工夫したりと

その家族の個性を演出するのを楽しんでいるようでした。

そして、その飾られた空間は見る人を楽しませると同時に、

やがては、住民らで空間をきれいに保とうという意識が芽生え、

協力しあうというコミュニティー形成につながっていくことでしょう。

別の方向から見た平良団地です。

駐車場に面する中庭です。

宮古島産のサンゴを縁石に使った花壇は

花びらのようにも見えるし、魚のうろこのようにも見えて楽しそうです。

自然素材を使うことによって、環境にもやさしく、

また、地場産を使用しているので、宮古島の景観に溶け込むことはもちろん

地域振興にも一役買っています。

 

この花壇の植栽をどのようにしようかと伊志嶺さんが考えていたところ、

住人の人たちがそれぞれに花などを植え始めてしまいました。

この花壇も中間領域のひとつとして機能しはじめました。

(実は、伊志嶺さんの狙い通りになったのではないでしょうか。)

沖縄でよく見かけるマニラーヤシです。

太陽の光をいっぱい浴びて、すくすくと育ちます。

建物の間からは海が見えます。

ここ宮古島では、海との繋がりは切っても切り離せません。

 

この素敵な団地を造られた伊志嶺敏子さんのご紹介を少し。

おおらかでパワフルな伊志嶺さんは、

この宮古島のまぶしいくらいの太陽の下で

いっぱい太陽の光を浴びながら育った方だと思いました。

よく笑い、よく食べ、よく飲み

けれど、建築の話になると顔つきが変わります。

設計された建物同様、ご本人も素敵な方です。

私もそんな伊志嶺さんの魅力にひきつけられた一人です。

沖縄の名産、泡盛を飲むときはこう言いながら、伊志嶺さんに乾杯したいです。

 

「やーぬ みんたま かいかりちきれ!」

(沖縄の方言で、「君の瞳に乾杯!」